コラム
テレワークが不動産市場に与えた影響とは?今後の物件選びのポイントを解説
新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークが広く認知されるようになった現代。
企業にもテレワークの導入が推奨されており、実際にオフィス勤務からテレワークに切り替わった人も多いことでしょう。
今や一般的となったテレワークですが、その変化は不動産市場にどのような影響を与えたのでしょうか?
この記事で詳しく解説します。
テレワークが不動産市場に与えた影響
テレワークの普及により、自宅で過ごす在宅時間が大幅に延びた昨今。
この変化によって、これまでは単に「帰って寝る場所」であった自宅に対し、「有意義な時間を過ごす空間」という価値を求める人が増えてきました。
これにより、不動産市場にも一定の変化が起こっています。
その内容を見ていきましょう。
東京では転出超過が続き、郊外物件のニーズが高まる
長年、人口の一極集中が続いていた東京。
しかし、2020年5月には、比較可能な2013年7月以降では初となる転出超過に。
以降、入学や就職の動きが増える3-4月を除き、2021年は5ヶ月にわたって転出超過が続いています。
住民基本台帳人口移動報告によると、2021年9月の転出者は2万8,684人。
転入者は2万5,151人となり、転出者数が転入者数を3,533人上回る転出超過となりました。
一方、埼玉・千葉・神奈川の3県を含んだ「東京圏」では233人の転入超過となっており、都内から近隣エリアに人が移動していることが伺えます。
この背景として、「基本的にはテレワークを中心としつつ、もし出社となっても対応しやすい郊外物件」の人気が高まっていると考えられます。
テレワークの浸透具合は企業によってバラつきも
とはいえ、日本におけるテレワークの浸透具合は企業によりけりで、「今後も全社員テレワークを継続する」と公表している企業もあれば、ほとんど導入が進んでいない企業・業種も数多く存在します。
また、東京都が行った調査によると、テレワークを実施している企業でも、その6割超が週2日以上の出勤を課しており、テレワーク期間中であっても出勤機会がゼロになることは少ない現状が伺えます。
そのため、完全な地方移住ではなく、定期的な出社も見越した郊外物件を選ぶ人が多いと想定されます。
今後はテレワーク需要を踏まえた不動産選びが重要に
テレワークによって在宅時間が増えたことで、住環境の充実を求める人が増えた昨今。
auじぶん銀行が行ったアンケートによると、「もし今転居するとなった場合に、住宅選びで意識するポイント」を調査したところ、コロナ禍でテレワークを経験する以前と比べて「広さ・間取り」を重視する人が増加。
その他にも「セキュリティが強い」や「防音性が高い」など、住環境を整えたいという傾向が強く見られるようになりました。
このような傾向から、今後は、以下のような特徴を備えた物件の人気が高まるものと想定されます。
- インターネット環境が整っている
- 防音設備が施されている
- 自炊ニーズに適した生活環境がある
- 新しい生活様式に適した共用部分・設備
インターネット環境が整っている
自宅でテレワークをするにあたっては、インターネット環境が欠かせません。
無料でインターネットが使える「インターネット完備物件」であれば、テレワーカーも安心して暮らせることでしょう。
通信速度や安定性が優れているかどうかも重要なポイントとなります。
防音設備が施されている
テレワークで在宅時間が長くなると、さまざまな物音が気になってくるもの。
工事の音や登下校中の子供たちの声などが絶え間なく聞こえてくると、とても仕事に集中することなどできません。
そうした事態を防ぐために、部屋の防音性を気にする人が増えています。
自炊ニーズに適した生活環境がある
テレワークによって外に出る機会が少なくなったことで、自炊ニーズが高まったことも変化のひとつ。
自炊をするためにはスーパーや商店街の存在が欠かせませんので、近隣にそうした施設があるかどうかもチェックするようにしましょう。
新しい生活様式に適した共用部分・設備
人との接触を避けるため、テイクアウトやデリバリー、置き配などの「新しい生活様式」が普及した現代。
そうした変化に対応するため、宅配ボックスや空気清浄機を設置したり、エントランスのロックやエレベーターのボタンを非接触型に変更したりといった工夫が求められています。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大によって、一気に広まったテレワーク。
今後もしこの状況が落ち着いたとしても、テレワーク自体は「新しい生活様式」のひとつとして定着していくことでしょう。
テレワークによって「仕事=オフィスに出社して行うもの」という既存の概念が打ち砕かれたことで、住宅に求めるニーズも変わっていくはずです。
今後もこうした変化を見逃さず、世情やニーズに即した物件を見極めることで、失敗のない不動産投資を行っていきましょう。