コラム
REITの利回り推移を解説!高い利回り水準の理由とは?
複数の投資者から集めた資金で不動産投資を行い、その収益を投資者に配当するという金融商品「REIT(不動産投資信託)」。
少ない手間で、手頃な金額からでも始められるとして人気のREITですが、その利回り推移はどのようになっているのでしょうか。
2020年~現在(2021年10月時点)の利回り推移と、高い利回り水準の理由を解説します。
平均分配金利回りはコロナ禍以前の水準に落ち着く
世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2-3月には、キャッシュ保有増を目的とした金融機関などによる売りが続出し、東証REIT指数が大幅に下落。
これに伴い、平均分配金利回りは一時6.7%にまで急上昇しました。
一時はコロナ・ショック以前の半値近くまで暴落した東証REIT指数でしたが、その後は極端な割安を受けて買いが続出。
同年5月にかけて指数が急反発し、その後も順調に上昇を続けています。
指数急落を受けて上昇した平均分配金利回りを評価し、買い傾向が続いているためと考えられます。
2021年9月時点の平均分配金利回りは3.48%。
これはコロナ・ショック以前の水準とほぼほぼ同程度で、2020年2-3月以降は目立った乱高下も見られていません。
欧米や一部銘柄ではREITの利回りに深刻な打撃も
J-REITの平均分配金利回りは落ち着きを見せつつありますが、気になるのが海外REIT、とりわけ欧米諸国における利回りです。
欧米では新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的としたロックダウン(都市封鎖)が行われ、経済活動が大きく衰退しました。
これによって多くの商業施設が存続の危機に瀕した結果、今後、賃料を引き下げてでもテナントの引き留めを試みるのではないか、との可能性が囁かれています。
賃料が引き下げられると、物件の収益は顕著に悪化します。
REITが投資している商業施設が賃料の引き下げを行った場合、物件の収益が悪化し、利回りが大きく下落してしまう恐れがあります。
国内ではロックダウンほど厳粛な処置が取られていないため、賃料引き下げなどの可能性は薄いと考えられますが、一部銘柄では利回りが悪化しているものもあるため注意が必要です。
REITの平均分配金利回りは今後も3-5%の間を推移すると想定
通常、おおよそ3-5%の間を行き来しているREITの平均分配金利回り。
これは、東証1部の配当利回り2.77%、長期金利(10年国債)0.01%よりも高い水準となっており、より高いリターンが期待できる金融商品であると言えます。
(東証1部、長期金利については2020年3月時点の利回り)
なぜ、REITは高い利回り水準を維持できているのでしょうか。
それは、REITが投資法人という形を取っていることで税金が免除され、収益の大部分を分配金に回すことができるためです。
加えて、いくつもの不動産に分散投資することでリスクを軽減しているので、個人が行う不動産投資よりも安定した利回りを維持できているのです。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大当初は乱高下が続いた、REITの平均分配金利回り。
その後は徐々に落ち着きを見せ、現在ではコロナ・ショック以前の水準をほぼほぼ取り戻しています。
東証REIT指数が急落し、平均分配金利回りが6.7%にまで急上昇した当時ほどの旨味はなくなったものの、他の金融商品と比べて安定して高い利回りが期待できるREIT。
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