コラム
住宅ローンと不動産投資ローンは何が違う?目的に応じた使い分けをしよう
不動産投資を始めるにあたって、ほとんどの人がローンを活用します。
不動産投資用には「不動産投資ローン」という商品が用意されていますが、他にも「住宅ローン」が存在することをご存知でしょうか?
どちらも似たような名称の商品ですが、その用途や特性は大きく異なります。
具体的に見ていきましょう。
住宅ローンとは
住宅ローンとは、「自身が居住する不動産」を購入するために金融機関から受ける融資のことです。
多くの融資において返済期間が35年までと長く、金利が極めて低く設定されているという特徴があります。
本人が居住することを前提とした融資のため、原則として、契約できる住宅ローンは「ひとりにひとつのみ」と限られています。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、「投資用不動産」を購入するために金融機関から受ける融資のことです。
住宅ローンの審査対象は、借り入れる人の属性(年収や勤務先、勤続年数など)をもとにしていますが、不動産投資ローンでは、属性に加えて物件の担保価値や採算性なども加味されることになります。
そのため、一般的に、住宅ローンよりも審査基準が厳しくなる傾向にあります。
また、
- 融資の目的が「住まいの確保」ではなく「事業(衣食住のプラスアルファにあたるもの)」である
- 運用によっては想定していたような収益があがらず、返済が滞る可能性がある
などの理由から、住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。
住宅ローンと不動産投資ローンの違い
続いて、より詳細に二者の違いを見ていきましょう。
それぞれ、段落を立てて解説していきます。
借入の目的
住宅ローンの場合、借入の目的は「住まいの確保」あるいは「住まいの増改築」となります。
一方、不動産投資ローンの場合、借入の目的は「投資用不動産の取得」となります。
住宅ローンを用いて投資用不動産を取得することは重大な契約違反に当たるため、決して行わないようにしましょう。
金利
住宅ローンの金利相場は、年利0.5~2.0%程度。
一方、不動産投資ローンの金利相場は、年利1.5~4.5%程度となります。
二者の金利には大きな差がありますが、その背景には、後述する「返済原資」が異なることが挙げられます。
返済原資
返済原資とは、借入金の返済金に充てる資金のことです。
住宅ローンの場合、返済原資は毎月の給与収入となります。
一方、不動産投資ローンの場合、返済原資は毎月の家賃収入となります。
一般的に、勤務先が変わったり退職したりしない限り、給与収入が大きく変動することはありませんが、家賃収入はそうもいきません。
空室や大きな修繕が生じたりすると、一気に赤字に転じてしまう恐れもあります。
そのため、不動産投資ローンの返済原資のほうが確実性が低く、貸し倒れリスクが高いと考えられるため、そのぶん金利が高く設定されているのです。
融資金額
住宅ローンの融資金額は、個人の年収の5~8倍程度とされています。
一方、不動産投資ローンの融資金額は、個人の年収の10~20倍程度でも融資可能となる場合があります。
「個人」に対する融資なのか、「事業」に対する融資なのか、という差が、融資金額の差にも表れているのです。
もちろん、融資金額の上限は、個人の属性や物件の収益性などによって大きく変動します。
高い収益性が見込めれば、年収500万円のサラリーマンが1億円の投資用マンションを購入することも不可能ではありません。
融資審査の内容
住宅ローンの融資審査は、個人の属性を基準としています。
具体的には、年収や勤続年数、貯蓄金額や、他社での借入金額などが挙げられます。
一方、不動産投資ローンの融資審査は、個人の属性に加え、物件の収益性も厳しくチェックされます。
具体的には、物件の築年数やエリア、家賃設定などが審査項目となります。
借入人の名義
住宅ローンの場合、借入人の名義は個人となります。
契約者本人が居住するための住宅を購入することが目的である以上、法人名義での借入はできません。
一方、不動産投資ローンの場合は「事業」のための融資ですので、法人名義でも契約を結ぶことが可能となっています。
まとめ
この記事では、住宅ローンと不動産投資ローンの違いを解説しました。
名称だけを見ると似た商品に思えますが、実はまったく異なるものであることがお分かりいただけたでしょうか。
不動産投資で成功するためには、好条件で不動産投資ローンを受けることが欠かせません。
不動産投資ローンの特性をしっかりと理解し、有利な状況を整えたうえで、融資審査に臨むようにしましょう。