コラム

つみたてNISAとiDeCoの違いは?目的に応じた使い分けでかしこく運用

「老後2,000万円問題」や年金への不安感の高まりを受け、資産形成に大きな注目が集まっている昨今。

テレビや雑誌などでは、資産形成に役立つ制度としてNISAやiDeCoがよく取り上げられていますが、「名称は知っているけど、詳しい内容まではちょっと……」という方もまだまだ多いのではないでしょうか?

この記事では、つみたてNISAとiDeCoについて、それぞれの基本情報から違いまでを分かりやすく解説していきます。

つみたてNISAとは

現在日本にある3つの「NISA(ニーサ)」のひとつである「つみたてNISA」。

そもそもNISAとは、株式や投資信託といった金融商品の運用益が非課税になる制度です。

イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルとしており、日本版のISA=Nippon ISA=NISAとの意味をこめて名付けられました。

正式名称は「少額投資非課税制度」といいますが、愛称であるNISAのほうが広く一般に知られています。

2022年4月時点でNISAには下記3つの種類があります。

  • 一般NISA
  • つみたてNISA
  • ジュニアNISA(2023年末で終了)
加入制限非課税保有期間年間非課税枠投資可能商品買付方法
一般NISA20歳以上(2023年1月以降は18歳以上から可能)5年間120万円上場株式・ETF・公募株式投資信託・REITなど通常の買付・積立投資
つみたてNISA20歳以上(2023年1月以降は18歳以上から可能)20年間40万円長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託積立投資のみ
ジュニアNISA20歳未満5年間80万円一般NISA同様一般NISA同様

つみたてNISAの特徴は以下のとおりです。

  • 年間非課税枠は40万円と少ないが、非課税保有期間が20年間と長い
  • 長期的にコツコツ堅実に運用していきたい人におすすめ
  • 投資できる対象商品が厳選されている
  • いつでも資産を売却して現金化し、出金することができる

iDeCoとは

iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度のひとつ。

NISA(一般NISA)同様、平成14年1月から制度運用が開始されています。

基本的には20~60歳未満のすべての人が任意で加入することができ、掛金の設定・運用商品の選択・運用などはすべて自分で行います。

原則60歳以降になると、これまで蓄積してきた掛金と運用益の合計額を「個人年金」として受け取ることができるようになります。

iDeCoの節税効果はNISAよりも高く、

  • 運用益が非課税となる
  • 掛金は全額所得控除の対象となる
  • 受け取りの際も控除(公的年金等控除or退職所得控除)を受けられる

と3つのシーンで税優遇を受けることができます。

つみたてNISAとiDeCoの違い

不動産投資同様、時間をかけて堅実に運用していく、という点が共通しているつみたてNISAとiDeCo。

その2者の違いを、分かりやすく表にまとめました。

つみたてNISAiDeCo
目的自由老後の資産形成
加入可能年齢20歳以上(2023年1月以降は18歳から可能)20~60歳未満
運用商品金融庁の基準を満たした特定の投資信託のみ投資信託・定期預金・保険商品
最低運用金額100円毎月5,000円※1,000円単位で設定可能
年間運用額の上限40万円14万4,000円~81万6,000円※職業などによって異なる
運用可能期間20年間最長40年間(60歳まで)
引き出しいつでも可能原則60歳まで不可
税優遇運用益が非課税運用益が非課税掛金が全額所得控除受け取り時に公的年金等控除or退職所得控除

両者の違いはさまざまありますが、そもそも大前提となる「目的」が大きく異なる点にご注目。

つみたてNISAが特に目的を定めていないのに対し、iDeCoは「老後の資産形成」を明確な目的としています。

そのため、iDeCoは原則60歳になるまで引き出しできず、換金性の面ではつみたてNISAほどの自由度がありません。

その一方で、税優遇の面でつみたてNISAに勝るiDeCo。

つみたてNISAの税優遇が「運用益が非課税」の一点のみであるのに対し、iDeCoは、

  • 運用時:運用益が非課税
  • 拠出・投資時:掛金が全額所得控除
  • 受取時:公的年金等控除or退職所得控除

の3つのシーンでそれぞれ税優遇を受けることができ、大きな節税効果が期待できます。

目的別!あなたにぴったりの制度とは

つみたてNISAにiDeCo、そして一般NISA。

それぞれ魅力が異なる制度なので、「どれを利用したらいいか分からない!」となってしまう方も多いことでしょう。

もし、老後のための資産形成がしたいのであれば、iDeCoが断然おすすめです。

前述したとおり、ごく一部の例外を除いて60歳まで引き出せませんが、そのぶん節税効果は抜群です。

住宅購入や子供の学費など、数年後の目的のために積み立てておきたいならつみたてNISAがおすすめ。

必要な時に必要なぶんを売却して現金化しつつ、残りの資産で引き続き運用を継続することも可能ですよ。

ある程度の金額を投じて、本格的に運用を行いたい方には一般NISAがぴったりです。

非課税で運用できる金額が、つみたてNISAは年間40万円、iDeCoは年間14万4,000円~81万6,000円であるのに対し、一般NISAは年間120万円。

金額が大きい分それ相応の知識も求められますが、より多いリターンを獲得することが期待できます。

なお、NISA同士の併用はできませんが、NISAとiDeCoは併用することも可能です。

つみたてNISAとiDeCoを併用して中長期的な資産形成を行う。

一般NISAとiDeCoを併用し、長期の備えをしつつ短期的なリターンを狙うなど、組み合わせ次第でさまざまな運用ができますよ。

まとめ

どちらも中長期的な資産形成に適した、つみたてNISAとiDeCo。

ただし、ふたつの制度を併用したとしても、非課税枠は年間54万4,000円~121万6,000円に留まります。

「この規模感ではとても目標に届かない……」

「手堅さは大事にしたいけど、もう少し踏み込んだ運用もしてみたい」

そんな方は、同じく中長期的な資産形成を得意とする不動産投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。

株式やFXのような日々の激しい値動きがなく、運用を不動産会社に任せることもできますので、忙しいサラリーマンや主婦の方でも取り組みやすい資産形成方法です。

あなたの目的達成のために不動産投資が役立ちましたら幸いです。

関連記事