コラム

新型コロナウイルスによって都内の不動産市場はどう変わった?その影響と今後の展望

世界中で猛威を振るい続けている、新型コロナウイルス。
感染症としての脅威はもちろん、外出自粛やテレワークの推進、店舗の時短営業など、私たちの暮らしにもさまざまな影響が出ています。
そんな新型コロナウイルスは、都内の不動産市場にどのような影響をもたらしたのでしょうか。

この記事では、新型コロナウイルスが都内の不動産市場に与えた影響と、今後の展望について解説します。

新型コロナウイルスが都内の不動産市場に与えた影響

早速、新型コロナウイルスが都内の不動産市場に与えた影響を見ていきましょう。
大きなトピックは以下の3つです。

  • 都心部から地方への移住ニーズはごく一部に留まる
  • 通勤や買い物の利便性を重視する傾向が高まる
  • 郊外では賃貸マンションから一戸建てへの引越し傾向も

それぞれ順に見ていきましょう。

都心部から地方への移住ニーズはごく一部に留まる

欧州やアメリカの大都市部では、中心部から都市郊外へと人が大きく移動する流れが発生。
郊外の不動産売買・賃貸市場が活発化する一方で、中心部における不動産取引には急ブレーキがかかることとなりました。
一方、日本国内においては、都心部から地方への移住ニーズは限定的なものに留まる結果に。
ある不動産情報検索サイトによると、2020年4~5月の緊急事態宣言時には、郊外や地方の物件閲覧数や資料請求数が増加したものの、緊急事態宣言の解除後にはその傾向も弱まっていったとのことです。

通勤や買い物の利便性を重視する傾向が高まる

逆に、都心や駅近物件への需要が高まっているのも特徴のひとつ。
こうした需要の背景には、「公共交通の利用を極力避け、密の状態を避けたい」という思いがあると伺えます。
また、テレワークやオンライン授業の普及が進むことで、却って「通勤・通学時のストレス」が浮き彫りとなり、アクセス環境の良さを重視するようになったとも考えられます。
このような傾向と、かねてよりの低金利が重なって、「好立地ながら比較的高額な、都心部の物件」の取引市場が活発化するようになりました。

郊外では賃貸マンションから一戸建てへの引越し傾向も

一方で、郊外の一戸建てが人気を集めるという傾向も。
ただし、前提として「都心部へのアクセス環境がいい」という条件があることにご注意を。
郊外の一戸建てが人気を集めている背景としては、

  • 在宅時間が増え、賃貸マンションが手狭に感じるようになった
  • 今後の年収に不安を感じ、組めるうちにローンを組んでおきたいと思う人が増えた
  • 外出自粛によって浮いたレジャー費や遊興費をローンに回す流れができた

などが挙げられます。
事実、埼玉や千葉といった郊外エリアの新築戸建価格は顕著に上昇傾向に。
オープンハウスによると、神奈川・千葉・埼玉エリアの仲介販売・新規契約数は、前年同期比120%という好調な伸びを見せているといいます。

都内の不動産市場は今後どのような動きを見せる?

今後、都内の不動産市場はどのような動きが予測されるのでしょうか。
2020年5月の緊急事態宣言解除後、新築・中古・マンション・一戸建てすべてにおいて、不動産取引市場は急激な回復を見せています。
とりわけ、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)などにおいては、中古マンション成約平米単価が右肩上がりの上昇を見せ続けています。

今後も、

  • 新規物件の売出し数の少なさ
  • 在庫の減少

などの理由により、都内の不動産取引価格はさらに上昇していくことが想定されます。
他の先進国に比べて割安感があり、新型コロナウイルスの影響も比較的小さいことから、海外の投資家からも注目されている日本の不動産市場。
予測されているだけでも、今後、兆円単位のマネーが流入してくる見込みとなっています。
全国レベルで見れば、2019年10月の消費税増税以降低調が続いている不動産取引市場ですが、都内などの都心部・都市部においては、今後も引き続き活発な取引が行われることが予測されます。

まとめ

さまざまな市場に大きな影響を与え、今なお猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。
改めて、新型コロナウイルスが都内の不動産市場に与えた影響をおさらいしておきましょう。

  • 都心部から地方への移住ニーズはごく一部に留まる
  • 通勤や買い物の利便性を重視する傾向が高まる
  • 郊外では賃貸マンションから一戸建てへの引越し傾向も

「都心部への集中」と「都心へのアクセスがいい郊外戸建ての人気上昇」という二極化が見られた都内の不動産市場。
不動産投資をご検討する際は、こうしたトレンドも押さえておくようにしましょう。

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