コラム

中国恒大集団は今後どうなる?日本の不動産市場への影響を考える

2016年には売上高で世界最大の不動産会社にまで上り詰めた「中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)」。
約20万人の従業員を抱え、東京23区のおよそ3分の1の規模の土地を保有すると言われる大不動産会社である恒大集団ですが、今、深刻な経営難に陥っています。
かつては世界トップの不動産会社の座にも輝いた恒大集団。
その経営難は、日本の不動産市場にどのような影響を与えるのでしょうか。

日々デフォルト懸念が強まる恒大集団

1996年に創業し、2000年代に起こった中国での不動産ブームを受けて急成長した恒大集団。
近年ではサッカークラブ「広州FC」を手掛けるなど、さまざまな分野に手を広げていましたが、そうした中で社債発行や借り入れが膨らんでいき、今やその額は約33.4兆円にのぼるとも言われています。
高レバレッジ(高い負債比率)で無理な投資をしすぎたことが、現在の状況を招いた大きな要因と考えられています。
資金繰りは綱渡りの感が強く、年内の利払い額は700億円を超えるとも言われている恒大集団。
いつデフォルト(債務不履行)に陥ってもおかしくない危うい状態が続いており、土壇場での支払いがどうなるかに注目が集まっています。

世界的な金融危機につながるリスクは低い

負債総額が33兆円を超える恒大集団。
今後もし倒産したとすると、その規模感は、不動産会社としては史上最大級となります。
となると、世界経済への影響が懸念されるところですが、

  • 恒大集団の債権者はほとんどが中国企業である
  • 恒大集団の借入金額は金融危機が起こるレベルではない
  • 中国政府のコントロールが入ると想定される

などの理由から、リーマンショックのような世界的な金融危機につながるリスクは低いという見方が一般的です。
とはいえ、中国政府の対応次第によっては思いもよらない着地を見せる可能性もありますので、今後の中国政府の介入内容には注意が必要です。

中国人投資家らの投資マインドが減退する可能性も

恒大集団の経営が破綻した場合、リーマンショックのような事態には陥らずとも、中国の不動産市況が大きく冷え込むことは確実です。
その冷え込みが不動産業界への投資マインドの冷え込みを誘発する可能性は高く、日本国内の不動産に対する中国人投資家の買い付け意欲が減退することが考えられます。
海外不動産投資家らの強気な買い付けは、近年の国内不動産の物件価格高騰の一因となっていました。
中国人投資家の投資マインドが大幅に冷え込めば、国内不動産価格の高騰にブレーキがかかる可能性も考えられます。

まとめ

一部報道では「第2のリーマンショック」とも言われた、恒大集団の経営問題。
しかし、その影響のほとんどは中国国内に留まり、日本の不動産市場に大きな変動は起こらないものとの見方が強まっています。
年内分の利息を払い終えたとしても、2022年の3-4月には社債の償還も控えている恒大集団。
危機を脱するには、まだまだ険しい道のりが待っているようです。

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