コラム
日本の人口減少が不動産投資に与える影響とは?現状と成功のポイントを解説
未婚率の上昇や少子高齢化が取り沙汰され、人口の減少が深刻化している日本。
そんな人口の減少は、不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか。
「人口減少が続く以上、不動産投資で利益をあげることは難しい」
そんな声も聞こえてきますが、果たして本当にそうでしょうか?
この記事では、人口減少と不動産投資について解説しています。
人口減少下でも不動産投資を成功させるポイントもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
日本の人口減少・少子高齢化は今後も進む見込み
総務省が発表している「人口減少の現状」によると、日本の総人口が減少に転じたのは2008年のこと。
以降ゆるやかに人口減少が続いており、2050年には日本の総人口が1億人を下回るとの予測も出ています。
とりわけ深刻とされているのが、15歳から64歳までの、いわゆる「生産年齢人口」の減少です。
生産年齢人口は、2017年には7,596万人(総人口の60.0%)だったものが、2040年には5,978万人(53.9%)にまで減少することが推計されています。
生産年齢人口は「経済的に余裕があり、もっとも賃貸に対する需要がある人口層」であると言えます。
そのため、この層が大幅に減少してしまうことで不動産投資に悪影響があるのではないか、との懸念が広がっているのです。
人口減少が不動産投資に与える影響
前の段落で解説したとおり、たしかに、日本の人口減少は深刻な問題です。
しかし、その減少が直接不動産投資に悪影響を及ぼすとは限りません。
その理由は、
- 不動産投資市場は「需要」と「供給」のバランスに左右される
- 核家族化や未婚率の上昇を受け、単身者世帯が増えている
- 一部地方では過疎化が進むも、都市部は依然として転入超過傾向にある
にあります。
不動産投資市場は「需要」と「供給」のバランスに左右される
「人口が減少すると賃貸需要が減少し、空室率の上昇や家賃の値下げが生じる」と思われがちですが、決してそうとは言い切れません。
なぜなら、不動産投資市場は「需要」と「供給」のバランスに左右されるものだからです。
人口が減少すると、たしかに「需要」は減少します。
しかし、それに応じて不動産という「供給」も減少しますので、人口減のみによって、大幅に空室率上昇や家賃の値下げなどが生じるとは限らないのです。
核家族化や未婚率の上昇を受け、単身者世帯が増えている
日本の総人口は減少傾向にありますが、実は、世帯数自体は2014年以降8年連続で増加していることをご存知でしょうか。
2021年1月1日時点の世帯数は57,378,423世帯で、10年前からは6.7%の上昇(年率換算0.65%)となっています。
その背景には、核家族化の進行や未婚率の上昇を受け、単身者世帯が増えていることが挙げられます。
不動産は世帯単位で借りるため、世帯数が増えているということは、そのぶん賃貸需要も増えるということ。
そのため、総人口の減少が賃貸需要の低下に直結するわけではないのです。
一部地方では過疎化が進むも、都市部は依然として転入超過傾向にある
世界各地で進んでいる、都市部への人口集中。
とりわけ日本ではその傾向が顕著であり、東京の都市人口は2025年まで世界第1位の予測となっています。
また、東京に加えて千葉・神奈川・埼玉を含む一都三県には日本の総人口の約3割が居住しており、都市部に移住する人が非常に多いことが伺えます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、近年の東京は転出超過傾向に転じているものの、近隣の千葉・神奈川・埼玉への転入は増加し続けています。
そのため、都市部全体では依然として転入超過状態であり、人口も世帯数も年々増加しているのです。
過疎化が進む地方での不動産投資は高いリスクを伴いますが、人の流入が続く都市部であれば、引き続き高い賃貸需要が期待できることでしょう。
人口減少下でも不動産投資を成功させるポイント
人口減少が進む日本でも不動産投資を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
具体的には、以下の3ポイントが肝となります。
- 人口増加or維持が見込めるエリアで不動産投資を行う
- 単身者世帯をターゲットとした不動産投資を行う
- 付加価値のついた投資用物件を構える
人口増加or維持が見込めるエリアで不動産投資を行う
不動産投資において重要な指標となるのが「人口」です。
人口(あるいは世帯)が減少してしまうと賃貸需要が低下し、供給が需要を上回ってしまう恐れがあるため、必ず人口増加or維持が見込めるエリアを選ぶようにしましょう。
各エリアの人口数や人口推移は、ほとんどの場合、そのエリアの自治体が毎年発表してくれているはずです。
直近の人口推移だけでなく、都市開発や再開発などの予定なども確認のうえ、今後の人口推移を予測しながらエリア選定を行うようにしましょう。
単身者世帯をターゲットとした不動産投資を行う
核家族化の進行や未婚率の上昇によって単身者世帯が増加し、人口自体は減少傾向にありながらも、世帯数は増加し続けている日本。
そのため、今後の不動産投資においては、より「単身者世帯をターゲットとした戦略」が重要になってきます。
これから不動産投資を始めようという方は、ファミリー向けマンションではなく、単身者世帯向けの区分マンションなどを検討するといいでしょう。
付加価値のついた投資用物件を構える
今後も高い賃貸需要を維持するためには、他の物件にはない「付加価値」のついた投資用物件を構えることがベストです。
単身者世帯は、日中、仕事や所用などで家を空けている時間が長いもの。
そのため、留守中の安全を確保できるセキュリティシステムや、不在でも荷物を受け取ることができる宅配ボックス、急な雨でも慌てない浴室乾燥機といった設備が人気です。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が続いている現代においては、ストレスなくテレワークをこなすためのネットワーク環境や防音設備、ワークスペースが設けられた間取りの需要が高まっています。
こうした付加価値を備えた投資用物件であれば、入居者も確保しやすいはずです。
まとめ
この記事では、日本の人口減少と不動産投資についておまとめしました。
人口の減少自体は食い止めがたい問題ではあるものの、不動産投資にとって逆風ばかりとは限らない、ということがお分かりいただけたでしょうか。
「都市部では依然として人口が増加し続けている」
「単身者世帯が増えている」
という点を理解できていれば、必要以上に人口減少を恐れることはありません。
人口減少が引き起こす影響を追い風にできるよう、ぜひこの記事をお役立てください。