コラム
不動産取得税とはどんな税金?計算方法から軽減措置まで詳しく解説
不動産を取得した際に支払う「不動産取得税」。
なんとなく耳にしたことはあっても、その中身をしっかり把握できている方は少ないのではないでしょうか?
この記事では、そんな不動産取得税について分かりやすく解説しています。
不動産取得税とは
不動産取得税とは、その文字通り「不動産」を「取得」した際にかかる税金のことです。
土地や家屋などの購入はもちろん、新たに家屋を建築した場合や贈与を受けた際にもかかります。
もちろん、不動産投資目的で不動産を取得した場合も同様です。
以下、東京都主税局のホームページより、不動産取得税の意味を引用します。
土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した方に対して課税される税金です。有償・無償の別、登記の有無にかかわらず課税となります。ただし、相続により取得した場合等、一定の場合には課税されません。 ――引用:不動産取得税 | 税金の種類 | 東京都主税局 |
納める人は土地や家屋を取得した人であり、納税先は不動産がある都道府県となります。
不動産を取得したあと、各自治体の税事務所などで納税手続きを行います。
不動産取得税の納税タイミングは、不動産取得時の一回のみとなります。
よく似たものに「固定資産税」がありますが、こちらは、資産を保有している間は毎年一定の金額を納付しなければならない、という点で大きく異なります。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税の計算式は、いたってシンプルです。
不動産取得税 = 不動産価格(固定資産税評価額) × 標準税率 |
標準税率は、土地・家屋ともに原則4%とされていますが、令和6年3月31日までに取得した場合に限り、特例措置として、土地および住宅用家屋の標準税率が3%に引き下げられています。
住宅以外の家屋の税率は4%据え置きとなりますので、ご注意ください。
不動産取得税の納税方法
不動産を取得したあとは、不動産所在地を管轄する都道府県税事務所の不動産取得税担当課に対し、届け出を行わなければなりません。
都道府県税事務所の窓口、あるいはホームページで申告書を入手のうえ、期限内に提出するようにしましょう。
提出期限は自治体によって異なりますが、不動産取得日から10~20日以内と短いところから、60日以内と長めに設定されている場合もあります。
なお、不動産取得日とは「登記が完了した日」を指しています。
契約の締結日や居住をスタートさせた日ではありませんので、お気をつけください。
不動産取得税担当課への申告を済ませたら、6ヶ月から1年の間に納税通知書が届きますので、記載された期限までに納税を済ませましょう。
各自治体の税事務所や金融機関、コンビニエンスストアや、郵便局などの窓口で支払うことが可能です。
自治体によっては、クレジットカード決済などに対応している場合もあります。
分納に対応していることもありますので、一括納税が難しい、という場合には一度相談してみるといいでしょう。
期日を過ぎてしまった場合は、延滞金が発生しますのでご注意ください。
不動産取得税で軽減措置を受けるには
不動産取得税は、一定の要件を満たせば、税額を減らせる「軽減措置」を受けることができます。
軽減措置は、以下の3パターンそれぞれで設定されています。
- 新築住宅を取得した場合
- 中古住宅を取得した場合
- 住宅用の土地を取得した場合
新築住宅を取得した場合
新築住宅の場合、住宅の課税標準額から1,200万円が控除されます。
税額にすると最大で36万円の軽減になりますので、必ずチェックしておきたい項目です。
この軽減措置を受けるためには、
- 居住用の新築住宅であること
- 住宅の延床面積が50㎡(一戸建て以外の住宅の場合は40㎡)以上、240㎡以下
であることが求められます。
中古住宅を取得した場合
中古住宅の場合、住宅が新築された日に応じて、住宅の課税標準額から一定の金額が控除されます。
控除される金額は以下の表をご覧ください。
新築された日 | 控除額 |
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1,000万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日~1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日~1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日~1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 | 100万円 |
この軽減措置を受けるためには、
- 中古住宅取得時の現況が「住宅」である
- 個人が自ら居住する目的で取得したものである
- 床面積が50㎡以上240㎡以下である
- 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの、あるいは新耐震基準を満たしていると証明されたものである
という要件を満たしている必要があります。
住宅用の土地を取得した場合
土地の軽減措置は少々複雑ですが、
- 固定資産税評価額が1/2になる
- 算出された税額から、さらに一定額が控除される
という2段重ねの軽減措置が行われます。
控除される一定額は、
- 45,000円
- (土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2)× 住宅の床面積の2倍(200㎡が限度)× 3%
のどちらかのうち、高い方の金額が適用されます。
この軽減措置を受けるためには、その土地に建つ住宅が、新築住宅or中古住宅の軽減措置適用条件を満たしている必要があります。
また、土地の取得後3年以内に新築住宅を建てるか、住宅の取得後1年以内に土地を取得することも求められます。
まとめ
不動産を取得した際に払う、不動産取得税。
不動産の種類によって標準税率が変わったり、受けられる軽減措置が異なったりしますので、予め不動産取得前にチェックしておくことをおすすめします。