コラム
不動産管理会社と仲介会社の違いは?それぞれの担当領域や業務内容を紹介
不動産管理会社と不動産仲介会社。
どちらも「不動産会社」と呼称される会社ですが、実は、それぞれの会社は担当領域や業務内容が大きく異なります。
早速、不動産管理会社のほうから見ていきましょう。
不動産管理会社とは
不動産管理会社とは、大家(物件の所有者)に代わり、入居者管理(家賃の集金代行や契約更新・終了手続きなど)や物件の維持管理を行う会社のことです。
主に「入居者が物件に入居してから」の業務を担当します。
不動産管理会社の中でも、賃貸住宅の管理を担う会社は、任意で「賃貸住宅管理業者登録制度」に登録します。
一方、分譲マンションの管理組合から建物管理や修繕計画などの業務を受託する場合は、「マンション管理適正化法」に基づき、国に登録する義務が課されています。
大都市圏の賃貸物件は、約半数が大家による自主管理。残り半数が不動産管理会社による管理と言われています。
地方の賃貸物件ではこの比重が大きく変わり、大半が不動産管理会社による管理となります。
これは、地方の賃貸物件を所有する大家は、
- 都市圏などの遠方に住んでおり、頻繁に物件の様子を見に行けない
- 農業などと兼業しており、物件の管理に割く時間がない
などが理由と考えられます。
不動産管理会社の主な業務
不動産管理会社では、主に以下の業務を担います。
- 入居審査
- 家賃の集金代行
- 契約更新・終了手続き
- 入居者トラブルやクレームなどの対応
- 物件の維持管理
- 物件のメンテナンス
- 退去時の原状回復やリフォーム など
隣人の物音が騒がしい、エレベーターが動かないといったトラブルが起これば、まずは不動産管理会社に連絡が入ります。
しかし、不動産管理会社が担うのは、あくまで「物件の維持管理」のみ。
所有者は別にいますので、修繕を行うか否かなどの最終的な判断は所有者が行い、生じた費用も所有者が支払うこととなります。
不動産管理会社の主な収入源
不動産管理会社の主な収入源は、大家から支払われる「管理料(業務委託料、管理委託費などとも)」となります。
管理料の取り決めは不動産管理会社ごとに異なりますが、家賃収入の5%程度となることが一般的です。
空室などで家賃収入が減少すると、そのぶん管理料の費用負担も少なくなります。
ちなみに、入居者が支払う「管理費」は管理会社とは関係がなく、物件共有部分やエレベーターなどの保守点検、メンテナンスなどに活用されます。
不動産仲介会社とは
不動産仲介会社とは、入居者の部屋探しから契約までの手続きをサポートする会社です。
不動産管理会社が「入居者が物件に入居してから」を担当していたのに対し、不動産仲介会社では、それ以前の「入居者が物件に入居するまで」の業務を担当します。
不動産仲介業務を行うためには、宅地建物取引業の認可を受け、宅建免許を所持していなければなりません。
宅建免許を受ける要件のひとつに「宅地建物取引士の設置」がありますが、宅地建物取引士(宅建士)の国家資格試験の合格率はわずか16.8%(2020年度試験)であり、難関試験として知られています。
なお、不動産仲介会社の中には、不動産管理業を兼業している会社もあります。
そうした会社は、
- 仲介中心・管理無償型:仲介業務を中心としており、物件確保のため、管理業務を無償で行う。
- 管理有償・仲介併設型:管理業務(有償)を中心としており、仲介業務も兼業する。仲介時には仲介手数料も得る。
の2パターンに分類することができます。
不動産仲介会社の主な業務
不動産仲介会社では、主に以下の業務を担います。
- 入居希望者の集客
- 部屋探しの相談
- 内見の手配および立ち会い
- 入居契約および審査のサポート
- 重要事項説明書の説明 など
賃貸仲介の業務内容は比較的シンプルですが、売買仲介の場合は査定や仲介、不動産の引き渡しなど、複雑な業務が多くなってきます。
不動産仲介会社の主な収入源
不動産仲介会社の主な収入源は「仲介手数料」となります。
入居者と管理会社(あるいは大家)の双方から徴収することができますが、その上限額は宅地建物取引業法で定められており、賃貸の場合は「家賃の1ヶ月分+消費税」内に収めなければなりません。
仲介手数料は、不動産仲介会社との契約が成立した時点で発生します。
入居者の場合は、物件への入居が決まったとき。
管理会社(あるいは大家)の場合は入居者募集を依頼した時点となります。
まとめ
不動産管理会社と不動産仲介会社の違いがお分かりいただけたでしょうか?
改めて、それぞれの特徴を見ておきましょう。
不動産管理会社
- 「入居者が物件に入居してから」の業務を担当
- 大家から支払われる「管理料」が収入源
- 管理料は「家賃収入の5%程度」になることが一般的
不動産仲介会社
- 「入居者が物件に入居するまで」の業務を担当
- 入居者や管理会社(あるいは大家)から支払われる「仲介手数料」が収入源
- 仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で明確に定められている