コラム
2022年10月より火災保険料が大幅値上げ!主な変更点をチェック
深刻な気候変動により、台風や豪雨などの自然災害の頻発化・激甚化が目立つ昨今。
こうした背景を受け、2022年10月には火災保険料が値上げされることが決定しました。
これまでにも火災保険料はたびたび値上げされていますが、今回の値上げは過去最大の引き上げ幅となります。
知らないうちに損をしてしまわないよう、この記事で値上げの内容や変更点をチェックしておきましょう。
火災保険の主な変更点
今回の変更で重要となるポイントは以下の2つです。
- 火災保険料の目安となる「参考純率」が全国平均で10.9%アップ
- 最長契約期間が10年から5年に短縮
どちらも火災保険料の値上がりに繋がる可能性が高い変更です。
内容を詳しく見ていきましょう。
火災保険料の目安となる「参考純率」が全国平均で10.9%アップ
参考純率とは: 料率算出団体によって算出された「純保険料率」のこと。最終的な保険料率は「準保険料率(事故が発生した際、保険金に充てられる部分)」と「付加保険料率(保険会社が、事業を行うために必要な経費として徴収する部分)」を組み合わせて算出される。 実際に参考純率がそのまま純保険料率として使用されるわけではなく、純保険料率は保険会社各社の判断で算出される。しかし、多くの保険会社が参考純率を純保険料率の目安として活用しており、一般的に、参考純率の上下に応じて保険料率全体も変動する。 |
今回の変更では、保険料率を大きく左右しうる「参考純率」が全国平均で10.9%引き上げられることに。
この引き上げ幅は、2005年の8.7%を上回り過去最大となります。
物件の建つ地域や構造によっては参考純率が下がるケースもありますが、多くの地域で大幅な上昇が見られ、全国的に火災保険料が上昇することが想定されます。
▼参考純率の改定率(3大都市圏+改定率最大/最小)
参考純率の改定率 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
M構造 | T構造 | H構造 | ||||
築5年未満 | 築10年以上 | 築5年未満 | 築10年以上 | 築5年未満 | 築10年以上 | |
東京都 | +1.7% | +7.3% | ▲0.6% | +3.2% | +3.3% | +5.9% |
大阪府 | +15.3% | +21.5% | +15.6% | +22.4% | +24.6% | +30.9% |
愛知県 | +4.5% | +9.3% | ▲2.1% | +2.2% | +3.8% | +7.6% |
改定率最大 | +30.5%(宮崎県) | +33.0%(宮崎県) | +21.9%(山梨県) | +33.4%(山梨県) | +24.6%(大阪府) | +36.6%(沖縄県) |
改定率最小 | ▲4.7%(山形県) | +1.1%(山形県) | ▲11.6%(山口県) | ▲7.1%(山口県) | ▲13.8%(山口県) | ▲10.3%(山口県) |
最長契約期間が10年から5年に短縮
保険料の割安感が魅力だった長期契約ですが、今回の変更により、最長契約期間が10年から5年に短縮されることとなります。
これにより、
- 長期契約時の割安感が薄まる
- 今後保険料の見直しがあった際、10年契約の時よりも早く保険料が更新されてしまう(※)
などの理由から、この変更も保険料の負担増に繋がると考えられます。
※:新しい保険料は、保険料改定後の新規契約or契約更新時に適用されるため
最長契約期間が短縮となった理由には、保険会社の収支の改善に加え、地球温暖化による激しい気候変動が挙げられます。
通常、長期契約の保険プランを組む際には、契約期間中に生じる自然災害リスクを推計したうえで保険料を決定します。
しかし、気候変動によって突発的な自然災害が増えたことで、リスク予測の難易度が大幅に跳ね上がってしまいました。
そのため、10年スパンではなく5年スパンで自然災害の発生リスクを見直し、予測と現実の大幅な乖離を防ごうという流れになったのです。
変更の大きな要因は「自然災害の多発」
今回の変更における最大の理由は、損害保険会社の収支悪化にあります。
その収支悪化の大きな要因となっているのが「自然災害の多発」です。
近年では大型台風やゲリラ豪雨が頻発しており、火災保険の保険金支払いが頻度・額ともに急増しています。
過去およそ60年間に起きた自然災害(地震を除く)の中で、「支払われた保険金総額が多かった自然災害」の上位10件のうち実に7件が直近10年で発生していることからも、火災保険市場の逼迫具合いが伺えることでしょう。
火災保険に加入している住宅の老朽化も要因のひとつ。
築年数の古い住宅は、火災や水漏れの発生リスクが高いうえ、自然災害時の損壊リスクも総じて高い傾向にあります。
そのため、こうした築古物件への保険金支払いが年々増加しており、今後もさらに増え続けることを想定して、今回の大幅な保険料改定に繋がったというわけです。
まとめ
家庭の財布に大きな打撃を与える、火災保険料の大幅値上げ。
損害保険会社の収支が悪化しすぎると火災保険そのものが成り立たなくなってしまうとはいえ、なるべく無駄な出費は抑えたいというのが実情ではないでしょうか。
- 保険の見直しを行い、なるべく保険料が安い火災保険に乗り換える
- 保険料の改定が適用される前に長期契約を結ぶ
- 不必要な補償を外し、可能な範囲で免責金額を設定する
などの対策を行い、火災保険料値上げによるダメージを最小限に抑えるようにしましょう。