コラム
【節税対策】個人事業主が絶対に押さえておきたい節税ポイント7選
個人事業主にとって一大イベントである「確定申告」。
納めるべき税額を確定させる大切な申告ですが、制度や控除を活用しないまま確定申告してしまうと、無駄に多くの税金が発生してしまう恐れがあります。
この記事では、個人事業主が絶対に押さえておきたい節税ポイント7つをご紹介しています。
個人事業主デビューをご検討中の方、あるいはすでにデビュー済みの方は、ぜひこの記事をお役立てください。
(1)青色申告の承認を受ける
白色申告に比べ、さまざまな節税効果がある青色申告。
節税を考えるのであれば真っ先に取り入れておきたい対策のひとつです。
青色申告のメリットのうち、特に節税に役立つポイントは以下のとおりです。
- 最高65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 赤字が出ても最長3年間は繰越し繰戻しができる
- 青色事業専従者給与を経費として申請できる
これらの制度をうまく活用することができれば、大幅な節税が可能になります。
(2)経費はすべて漏れなく計上する
節税において「経費を漏れなく計上する(=可能なかぎり課税所得金額を減らす)」ことは極めて重要です。
事業にかかわる備品や事務用品などの購入費用などはもちろん、
- 家賃や水道光熱費の一部(自宅兼事務所の場合)
- 消費税や固定資産税
- 損害保険料
- 減価償却費
なども忘れず経費として申請しておくことで、課税所得金額を圧縮するようにしましょう。
(3)所得控除を活用する
2022年現在、所得控除には15の種類があります。
各所得控除には要件が設けられており、その要件を満たしていれば、そのぶんの控除額を所得金額から引くことができます。
各所得控除の種類と要件、控除額は以下のとおりです。
所得控除 | 要件 | 控除額 |
---|---|---|
雑損控除 | 災害・盗難・横領などによる損害を受けた場合に適用 | 差引損失額 - 総所得金額等 × 10%差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円のうち金額が多い方 |
医療費控除 | その年の1月1日~12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合に適用 | 医療費の合計金額(保険金補填分などを除く)- 10万円 |
社会保険料控除 | 社会保険料を支払った場合に適用 | 実際に支払った金額、または給与や公的年金などから差し引かれた金額の全額 |
小規模企業共済等掛金控除 | (5)にて解説 | - |
生命保険料控除 | (4)にて解説 | - |
地震保険料控除 | 地震保険料などを支払った場合に適用 | その年に支払った保険料の金額に応じて変動(最大5万円) |
寄付金控除 | (7)にて解説 | - |
障害者控除 | 納税者および同一生計配偶者、扶養家族(16歳未満含む)が障害者に該当する場合に適用 | 障害区分に応じて変動(最大75万円) |
寡婦控除 | その年の12月31日の現況で「ひとり親」に該当せず、夫と離婚した後婚姻せず、扶養親族がおり、合計所得金額が500万円以下夫と死別後に婚姻しない、または夫の生死が不明である一定の人で、合計所得金額が500万円以下のどちらかに該当する場合に適用 | 一律27万円(令和元年以前は最大35万円) |
ひとり親控除 | その年の12月31日の現況で婚姻をしておらず、婚姻関係と同様の事情にある人がいない同一生計の子供がいる合計所得金額が500万円以下のすべてに該当する場合(男女どちらも対象) | 一律35万円 |
勤労学生控除 | 一定水準以下の給与所得のある学生(特定の学校が対象)である場合に適用 | 一律27万円 |
配偶者控除 | 所得金額が年間48万円以下の配偶者がいる場合に適用(納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えていると対象外) | 納税者本人の合計所得金額に応じて変動 |
配偶者特別控除 | 配偶者の年間所得金額が48~133万円、または配偶者控除の対象とならなかった場合に適用 | 納税者本人と配偶者の合計所得金額に応じて変動(最大38万円) |
扶養控除 | 扶養する家族(その年の12月31日の現況で年齢が16歳以上)がいる場合に適用 | 最大63万円 |
基礎控除 | 合計所得金額2,400万円以下であれば、原則すべての人に適用 | 最大48万円 |
(4)生命保険などに加入する
生命保険や個人年金保険に加入すると、
- 生命保険料控除(収入保障保険や死亡保険など加入時)
- 介護医療保険料控除(医療保険やガン保険など加入時)
- 個人年金保険料控除(個人年金保険加入時)
といった控除を受けることができます。
それぞれの控除は所得税で最大4万円、住民税では最大2万8,000円です。
3種類合わせれば所得税からは最大12万円、住民税からは最大7万円(※)が控除されることになります。
※:2万8,000円×3=8万4,000円だが、上限があるため7万円となる。
(5)小規模企業共済に加入する
小規模企業共済に加入すると、その掛金の全額を控除することができます。
掛金は1,000円~7万円/月の範囲となるので、最大7万円×12ヶ月=84万円の控除を受けることが可能です。
(6)経営セーフティ共済に加入する
経営セーフティ共済に加入すると、その掛金の全額を必要経費に算入することができます。
掛金は5,000円~20万円の範囲で自由に選ぶことができ、途中で増額・減額も可能。
制度自体は「取引先事業者が倒産した際の連鎖倒産や経営難を防ぐ」ことを目的とした共済制度で、万が一取引先事業者が倒産した際には無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借り入れることができます。
(7)ふるさと納税を活用する
近年人気が高まっている「ふるさと納税」。
ふるさと納税を利用すると、利用額に応じて「寄付金控除」を利用することができます。
寄付金控除の額は「(①寄付した金額 or ②総所得金額×40% のうち少ない方)-2,000円」です。
まとめ
申告や控除などはややこしく感じますが、節税のためには避けられない道です。
一度内容を把握してしまえば翌年以降はある程度スムーズに対応できますので、個人事業主デビューを検討中、あるいはすでにデビュー済みの方は、なるべく早いタイミングで節税対策を整えておくことをおすすめします。