コラム

地政学的リスクを投資にどう活かす?2022年版地政学的リスクも解説

投資を検討するうえで「地政学的リスク」という言葉を耳にしたことはありませんか?

この記事では、

  • 地政学的リスクの意味
  • 2022年に懸念される地政学的リスク

を解説しています。

投資をする際には必ず押さえておきたい、地政学的リスク。

ぜひこの記事で地政学的リスクについて学ぶとともに、最新の地政学的リスクについて把握しておきましょう。

地政学的リスクとは

「地理学」と「政治学」を合成した「地政学」。

そのリスク要因のことを「地政学的リスク(地政学リスクとも)」といいます。

ある特定の地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、その地域や世界経済全体に与える悪影響のことを指しており、具体的にはテロやクーデター、国家間紛争などがこれにあたります。

地政学的リスクは商品市況の高騰や為替相場の乱高下を招き、投資活動や消費者心理に大きな影響を与えかねません。

地政学的リスクの種類や規模によっては、国内外のありとあらゆる企業や活動が何らかのダメージを被る恐れもあります。

その一方で、テロやクーデターなどはプロでさえ予見が難しく、急激にリスクが肥大化することもままあるという厄介さも孕んでいます。

世界各地では、今もさまざまな地政学的リスクの火種がくすぶっている状態です。

そんな地政学的リスクは、投資先を選定するにあたり、確実に押さえておきたいリスクのひとつと言えるでしょう。

【2022年版】懸念される世界各地の地政学的リスク

それでは、2022年において懸念される世界各地の地政学的リスクを見ていきましょう。

依然としてコロナ禍にある2022年。

世界的なパンデミックによる混乱に加え、ニュースでは軍事攻撃やミサイル発射のニュースが連日報道されており、2022年の世界情勢はまさに混沌のさなかにあります。

とりわけ動向に注目したいのが、以下の4つの地政学的リスクです。

  1. ロシアによるウクライナへの軍事侵攻
  2. 長期化する米中対立
  3. アラブ首長国連邦への軍事攻撃
  4. 北朝鮮による核開発やミサイル発射

(1)ロシアによるウクライナへの軍事侵攻

2022年2月下旬、ついにロシアがウクライナに軍事侵攻を開始。

これを受けて欧米諸国はロシアへの経済制裁および金融制裁を実行し、ロシアの金融市場では大幅な価格下落が見られています。

また、ロシア政府が外国人によるロシア国債の債券売却を禁じたため、現在ロシア国債は実質売買不可の状況となっています。

今後は、ロシアからの天然ガス供給が縮小されることにより、欧州のエネルギー供給が大幅に後退する可能性も指摘されています。

ウクライナへの軍事侵攻により、国際社会における孤立化がますます深まっているロシア。

欧米諸国によるロシアへの制裁措置は今後も長期化することが予測され、非常に不安定な市場環境が続くことが懸念されます。

(2)長期化する米中対立

前トランプ政権時に米中間で起きた貿易戦争は記憶に新しいですが、バイデン政権下においても依然として米中の対立構造が継続しており、経済・貿易面を中心に不安定な情勢が続いています。

近年では、ウイグル自治区における人権侵害問題などでも両国が強硬な姿勢を見せており、今後も長く緊迫した状態が続くものと想定されます。

2022年においてもっとも懸念されているのは、米中それぞれが国内政治事情によって米中関係を管理しきれなくなるリスクです。

アメリカにおいては11月に迎える中間選挙、中国においては秋に予定されている共産党大会への対策に追われ、国内外でさまざまな混乱が発生するのではと懸念されています。

米中両国と関係の深い日本にとって、こうした動向は特に大きな影響を及ぼすものと考えられます。

(3)アラブ首長国連邦への軍事攻撃

2022年1月下旬、イエメンに拠点を置く新イラン武装組織(フーシ派)が、アラブ首長国連邦(UAE)にある米軍駐留基地にミサイル攻撃を仕掛けました。

これを受け、UAE政府はフーシ派が支配するイエメン北部のミサイル発射基地を空爆。

双方ともに軍事攻撃が激化しています。

UAEとサウジアラビアが支援する政権側と、イランが支援するフーシ派との間で内戦が続いているイエメン。

フーシ派は今後も再びUAEを標的とした軍事攻撃を行うことをほのめかしており、石油のおよそ9割を中東に依存する日本に大きな影響を与えることが予測されます。

(4)北朝鮮による核開発やミサイル発射

ミサイルは遠い中東における問題だけではありません。

日本の近隣国である北朝鮮もまた、2022年以降もたびたびミサイルの発射を繰り返しており、安全保障上の脅威が高まっています。

北朝鮮が核開発やミサイル発射を繰り返す背景には、アメリカとの対話が停滞していることが挙げられます。

バイデン政権発足からは1年以上が経過していますが、前トランプ政権時のような首脳間レベルでの対話は一切行われておらず、北朝鮮側では焦りやフラストレーションが高まっているものと予測されます。

今後、対ロシアや対フーシ派への対応でアメリカが強い抑止力を発揮できなければ、北朝鮮がよりエスカレートした行動に出るリスクも考えられます。

まとめ

主要国で選挙や一大政治イベントが相次ぐ2022年。

コロナ危機からは少しずつ回復しているとはいえ、まだまだ激動の年となりそうです。

地政学的リスクによる影響を少しでも減らし、理想の投資活動を進めるためにも、常日頃から世界各地のニュースに目を光らせる習慣をつけておくことをおすすめします。

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